林家 これはね、この間中古盤でめっけたの。
中野 日野皓正さんの『TARO'S MOOD』ですか。
林家 当然落語家ですから、高座で納得のいかない時とか番組収録でスベッた時とか(笑)、落ち込むことがありますね。これね、「ALONE ALONE ALONE」っていう曲が入ってるんですよ。タイトルからしてどれだけ独りぼっち?みたいな。
中野 寂しくなっちゃいますね(笑)。これは36年前の録音なんですね。
林家 はい。2枚組なんですけども、ドラムが亡くなった弟さんのトコさん(日野元彦)、ピアノは益田幹夫さんで、ミュンヘンでのライブなんですよ。
中野 落ち込んだ時に癒される感じですか?
林家 あ、癒されないです。もうね、絶望の闇の中にうしろから思いっきり(笑)。
中野 追い打ちをかけられるんですね(笑)。
林家 本当にね、嫌んなりますよ。だからとことん寂しくなりたいなという時に、ぜひ聴いてください。辛みの中に甘みがあるんですよ。だからちょっとした希望も入ってると思うのでいいと思います。泣いてる人に、とことん泣いちゃえという1枚です。
中野 とことんどん底を味わった後ってちょっと上向きな気分になりますからね。
林家 続いては、元気が出るやつね。昼近くまで寝ていた天気のいい休日の、ブランチに出かける前に聴くのにおすすめしたい、こちらでございます。
中野 クリスチャン・ジェイコブの『CONTRADICTIONS』。ペトルチアーニのトリビュートものなんですね。
林家 最近のヨーロッパはきれいなピアノを弾きすぎるんですよ。
中野 澤野工房的な感じですね(笑)
林家 そうです。なんかそのきれいすぎるところがちょっと嫌だったんですが、ところがこれはいいんですよ。ミッシェル・ペトルチアーニの曲ばかりを集めたアルバムでね。ペトルチアーニといえば、最近ニールス・ペデルセンと演ってる2枚組(『PETRUCCIANI NHOP』)が出ましたね。あれはものすごくいいですね。
『PETRUCCIANI NHOP』中野 最高ですね。僕個人としては『ライヴ・アット・ブルーノート東京』が一番好きなんです。「カンタービレ」のリフレインを聴くと毎回ぎゅっと胸が締め付けられる。
『ライヴ・アット・ブルーノート東京』林家 アンソニー・ジャクソンとスティーブ・ガットと演ったやつですね。
中野 あのライブの後にペトルチアーニは亡くなったので、そう思って聴くと余計そのリフが意味深く聞こえてきます。
林家 僕は、ペトルチアーニはピアニストとしてももちろん好きですが、コンポーザーとしても好きなんでございますよ。
中野 美しいメロディを書きますよね、僕も同感です。
林家 で、これは意外と元気が出ますよ。天気もいいし、散歩がてらぶらっとデニーズに行こうかなぁという、その前に。バーミアンでもいいですけどね(笑)。