林家 次は、こいつジャズ詳しいんじゃねぇか?って思わせる1枚。
中野 はったり系ですね(笑)。ベント・イェーデッグの『DANISH JAZZMAN 1967』ですか。これ、僕も最近、復刻盤を購入しました。
林家 この人はデンマークの人ですよ。デンマークの人がアメリカのジャズに憧れて、すごく熱いものを持って、熱い演奏をしてるなっていうハートが伝わってくるんですよ。
中野 まだ聴いてはないんですけど、何やら良さそうな感じがするぞ、と思って買ったんですが、間違ってなかったみたいですね(笑)
林家 内容もそこそこいいですよ。ダスコ・ゴイコヴィッチとか有名人もけっこう参加してるんですよ。「最近聴いて良かったのは?」って聴かれた時に「これ、復刻盤でやっと手に入ったよ、やっぱいいねぇ」っていうとね、ジャズ通だと思わせることできますね。
林家 ブルーノートとかプレスティッジとかリバーサイドとか、結局60年代でどのジャズが好きなの?って言われた時に、私はこれです。
中野 オリバー・ネルソンの『SCREAMIN' THE BLUES』ですか。
林家 これいいですよ。誰がいいって、エリック・ドルフィー。これはもう、エリック・ドルフィーを聴くためにある。
中野 オリバー・ネルソンの代表作で挙がるのは『ブルースの真実』ですよね。
『ブルースの真実』林家 そうですね。いちばん有名なのはそれなんですけど。『SCREAMIN' THE BLUES』の方は復刻盤が出ても手を出さない人が多いですね。でもこのドルフィーですよ。オリバー・ネルソンのサックスも普通に巧いんですよ。しかしドルフィーの狂気の音の渦といったらまぁ、たまらんですよ。
中野 じゃあ、ドルフィーの隠れた代表作でもあると。
林家 ええ。もう本当にスクリーミングなドルフィーですよ。これはもう、ぜひぜひ。
林家 ウィントン・マルサリスを嫌う人って多いんですよね。最近ヘンテコになってきたじゃないですか。ポエム読んだりしてるんでしょ?
中野 『HE AND SHE』ですね(笑)。ポエムを飛ばしながら聴きましたけど(笑)。でもいまやジャズ・アット・リンカーン・センターの芸術監督ですからね。
『HE AND SHE』林家 そんなマルサリスの中ではこれ。『THE MIDNIGHT BLUES』です。
中野 『スタンダード・タイム』のVOL.5ですね。
林家 そうです。これはね、いろいろ出てる『スタンダード・タイム』の中でも人それぞれ好みがあると思うんですよ。知り合いなんかはセロリアス・モンクの曲をやってるのがいいとかね。でも僕はこれ。理由はね、選曲がいい。またトランペットを吹きたいと思ったのはこれを聴いてからなんです。これはぜひ寝る前に。それも独り寝の時ね。恋人が帰ったとか、かみさんが逃げたとか(笑)。なんかひとりで寂しく寝る時におすすめしたいです。
中野 心の隙間を埋めてくれるトランペット、みたいな。
林家 はい。僕はこれ、旅のお供ですよ。地方なんかに行く時はけっこう持って行きます。これは聴きました?
中野 はい。マルサリスはデビューから新譜が出る度に聴いちゃってます。
林家 また選曲がすごいですよ。マルサリスの曲の選び方が、ものすごくいいです。
中野 半端なくジャズに精通してますからね。
林家 この中に「Baby Won't You Please Come Home」っていうのが入ってるんですけれども、うちに戻ってきてくれよっていう。かみさんに逃げられた男のブルースなんですよ。ジャック・ティーガーデンが歌ってたんですけども、これがたまらなくいいですよ。トランペットってこんなに切なく巧く吹けるのかって。掠れた音とかね。本当に独り寝の子守唄としては最高です。