林家 なんかピアノトリオが聴きたいんだけど、今はやれエヴァンス派だ、ヨーロッパの洗練型だ、ジャレットの流れだと手が込みすぎじゃないかなぁと。だけど、そんなに凝らなくていいじゃんって。
中野 時々ベーシックなものを聴きたくなりますよね。
林家 でしょ。これはね、特に技巧派でもなんでもないんだけど大好きなんです。ジョン・バンチの『SPECIAL ALLIANCE』。
中野 これは知らないなぁ。白バイ野郎のジョンパンチなら知ってるけど(笑)
林家 まぁこれを見かけてもあんまり手に取らない。ジャケットから外れでしょ?(笑)でも吉祥寺の大野くんがいいからって。
中野 ははは。たしかにこれは手に取らないですね。
林家 ね。普通はパスですよ。だって名前もジョン・バンチですよ(笑)。でもね、いいんですよ~。
中野 あんまり奇をてらわずに演奏してる感じなんですか。
林家 そうなの。僕は知らない人のレコードを買う時に、どの楽曲を弾いてるかというのをみるんです。ウェイン・ショーターの曲をやってるならハズレがないとか、この曲を取りあげる人なら信用できるとか。で、ジョン・バンチは1曲目に僕が好きなハンク・モブレーの曲を持ってきたんですよ。これがまたいいんです。
中野 渋いいところを持ってきますね。
林家 でしょ。特別に超一流ですよというわけではないんですが、行きつけの駅前のラーメン屋さん、という感じの1枚。ふと食べたくなるシンプルで美味しいタンメンのようなね。
中野 振り返ってみるとあそこのラーメンがいちばん好きかもしれないなっていうような感じですね(笑)。
林家 今、このサックスを聴けば間違いないというので追っかけてるのがシーマス・ブレイクなんです。
中野 今、キテますよね。僕も2枚組の『LIVE IN ITALY』は好きですね。
『LIVE IN ITALY』林家 で、ソムリエとしておすすめしたいのがジョエル・ヘインズ・トリオ『TRANSTIONS』の1曲目。ほかの曲はもう聴かなくてもいいです(笑)。とにかく1曲目!普段はジョエル・ヘインズは買わないですよ。でも大野くんがシーマス・ブレイクが入ってるっていうから。
中野 1曲だけでテンションが上がっちゃう感じですか?
林家 そうです。テナー・サックスを聴いて元気になりたい時の1枚です。1曲目のためだけに買っても損しません。ぜひおすすめします。
林家 次は上司なんかに連れられてコットンクラブとかに行ったことはあって、ちょっと家でもジャズ聴きたいんだけどという女の子にプレゼントするなら、というのを。お酒でもコーヒーでも飲みながら、夜聴くのにいい1枚ですよ。
中野 ははは。なるほどね。ゴイコヴィッチですか。
林家 ハードバップのいいジャズなんですけども、僕はまずこのジャケットが好きなんです。可愛らしいじゃないですか。女の子にプレゼントするのにいいでしょ。
中野 女の子好きしそうですね。
林家 ね。しかもコルトレーンだマイルスだというのをプレゼントするんだと、ちょっとねという感じじゃないですか。デートに六本木ヒルズに連れて行ってしまうような感じで。
中野 ベタ過ぎる(笑)ゴイコヴィッチだと、ちょっと通な感じもしますもんね。
林家 しかもオシャレなね。だからジャズに興味ある女の子に渡すんだったらこれがいいかなぁと思います。