2010年代
現代ジャズの拡充


現在進行形のジャズの関係性を
より深くガイドしてゆく

四浦 この対談はそもそも中野さんに新しいミュージシャンを紹介して、気に入ったものを買っていただくという趣旨だったんですが、中野さんのCDを買うペース、量ともに半端じゃないので(笑)。

中野 買ってますよ、僕(笑)。ミュージシャンを追いかけるのと同時にジャズっていうジャンルの現在進行形を追いかけてる感じだから、大変(笑)

四浦 では、たくさんCDを買う方の為に、より深いガイドを(笑)。今日はどの辺りから行きましょうか。ジョー・マーティン『NOT BY CHANCE 』は既に手に取られましたか?

『NOT BY CHANCE 』ジョー・マーティン『NOT BY CHANCE 』
ジョー・マーティン

中野 ええ買いましたよ。ただまだ聴き込んでないですね。

四浦 フレッシュ・サウンド・ニュー・タレント・レーベルでのリーダー作で既に注目されていたジョー・マーチンの待望の最新作です。以前、本人のサイトではカート・ローゼンウインケルを迎えて新録を済ませたとアナウンスしていたわけですが、蓋を開けてみるとクリス・ポッターブラッド・メルドーを迎えるという意欲作となってたわけです。メルドー・ファンにとっては最近の唯一の録音物なので否が応でも期待が高まりました。それに十二分に答えてくれる実に聴きごたえある内容でした。この作品でドラムスを担当しているのがマーカス・ギルモアなのですが、マーカス・ギルモアが参加していたヴィジェイ・アイヤーの新譜は聴きました?

中野 『HISTORICITY』ですか。あれはものすごく良かったですね。

『HISTORICITY』ヴィジェイ・アイヤー・トリオ『HISTORICITY』
ヴィジェイ・アイヤー・トリオ

四浦 アルト・サックスのルドレッシュ・マハンサッパを加えたカルテット作品が続いていたので、まさに満を持してのトリオ作品。さらにドイツのACTレーベルからのリリースというのも興味深いですね。ここでのマーカス・ギルモアのプレイは本領発揮といっていいと思います。

中野 なるほど。

四浦 マーカス・ギルモアについてはクリスチャン・スコットゴンサロ・ルバルカバの作品で中野さんも既に注目されていたと思いますので、「さらに深く」ということでこのトリオのベーシストのステファン・クランプについて探っていきましょう。

中野 たしかに彼については、あまり押さえてないですね。

四浦 彼は97年に『Poems & Other Things』というリーダー作を出しておりまして、クリス・チークロベルタ・ピケットがフィーチャーされています。その頃はブルックリン・メインストリーム・ジャズという感じで、つづく『Tuckahoe』にはクリス・チークとミゲル・ゼノンがフィーチャーされています。で、それと平行して演ってきたのが、歌手である奥様との活動なんですね。いわゆるスタンダードだけを歌うといったジャズ・ボーカルではなくコンテンポラリーなシンガーで、ソウル・ミュージックやシンガー・ソング・ライターの歌まで取りあげるといった感じです。ちょっと聴いてもらいましょう。

『Poems & Other Things』ステファン・クランプ『Poems & Other Things』
ステファン・クランプ
『Tuckahoe』ステファン・クランプ『Tuckahoe』
ステファン・クランプ

中野 このボーカリストのお名前は?

四浦 あ、すみません。ジェン・チェピンといいます。フォーク・ロックのシンガー・ソング・ライターのハリー・チェピンは彼女のお父様になります。これは2006年の作品で『Light of Mine』という作品です。彼女は近々Cheskyレーベルからクリス・チークと旦那様をフィーチャーしたトリオでスティービー・ワンダー曲集の『Revisions: The Songs of Stevie Wonder』という新作を出す予定です。

『Light of Mine』ジェン・チェピン『『Light of Mine』
ジェン・チェピン
『Revisions: The Songs of Stevie Wonder』ジェン・チェピン『Revisions: The Songs of Stevie Wonder』
ジェン・チェピン

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