MILESTONE24時

中野俊成が18歳から通い続けていた
ジャズ喫茶『マイルストーン』の店主、織戸氏と共に
ビギナーに向けたジャズの名盤を紹介。
店が閉店した24時から花咲くジャズ談義を、余すことなく公開します。
MILESTONE 24H Vo.8

ジャズ初心者から
次のステージへ 2


クールでヒップなヴァイブを鳴らす
ボビー・ハッチャーソン

織戸 今回はわりと個人的に好きなものの核になっているジャズの新主流派を紹介します。自分的にいちばんジャズらしいと思う原点はマイルス・デイヴィスなので、マイルスを中心とする新主流派を4枚。まずは、ボビー・ハッチャーソン『ハプニングス』

中野 たしかにここら辺は後期ビギナーですね。ジャズ初心者の小学5年生、6年生くらい。

織戸 今回の4枚は完全にジャズマニアになる寸前(笑)。マイルス・デイヴィスはコロムビアというレーベルとマイルス・グループとして契約してリーダー作を出してた。そのサイドメンのウェイン・ショーターとかハービー・ハンコックとかはコロムビアから離れて、ブルーノートで自分のリーダー作を作るようになった。ブルーノートでその人たちが作ったレコードが、新主流派の核になってる。ボビーは新主流派の中でも、もっとも重要な人だと思うんだよね。ボビーのヴァイブ(ビブラフォン)は、クールでモダンでヒップな感じで。すごく新しい感覚。

ーーヴァイブ奏者のジャズミュージシャンは多くいるんですか?

織戸 モダン・ジャズ・カルテットミルト・ジャクソンがいちばん有名だね。あとはゲイリー・バーグ、ボビー・ハッチャーソンが大きな名前。

中野 モダン・ジャズ・カルテットの『ジャンゴ』も、ビギナー向けの名盤紹介本には必ず入ってますね。

『ジャンゴ』モダン・ジャズ・カルテット『ジャンゴ』
モダン・ジャズ・カルテット

織戸 新主流派というのは、マイスルがあって成り立ってるわけ。それだけ、ジョン・コルトレーンとマイルスというのは60年代のジャズの流れを作ってた。その後60年代の終わりになって、コルトレーンはフリーにいって、そこで倒れる。マイルスはギリギリのところで67,8年から、エレクトリックを導入して。

中野 頑なにフリーには行かずに新しい道を見出してフュージョンが始まるんですよね。

織戸 そうそう。マイルスはフュージョンなんか作るつもりじゃなかったんだけど、エレクトリックを導入したことでその流れになって。

中野 で、フュージョンは聴きやすいものが主流になってきて、マイルスはもっとビートの激しいロックに向かう。

織戸 そう。聴きやすいフュージョンじゃなくて、リズムをもっと突き詰めちゃうんだよね。複雑にどんどん。

中野 複雑なリズムの上に、自分は必要最小限の音をのっけてく。

織戸 67年にコルトレーンが死んで、そこで本当はジャズをアコースティックでやる流れというのは行き詰まっちゃったんだよね。そこからマイルスだけがエレクトリック・ジャズという形をとることによって、ジャズを一応広げられた。

中野 エレクトリックに行かなかった人たちは、進化せずに同じところに留まってた感じですね。

織戸 そうだねぇ。なかなか難しかったよね。可能性はまだあるのかもしれないけど。チック・コリアキース・ジャレットだと、チックはエレクトリックな流れにいって、キースはソロピアノみたいな。

中野 キースはソロでインプロの極みに挑み始めましたね。

織戸 キースは閉じこもっちゃってね。それは素晴らしい音楽を作ってるんだけれども。展開はなかなか難しいよね。

中野 キース好きなんだよなぁ。なんかずっと買い続けてます。新譜が出るたびに。

織戸 だって、やっぱすごいもんね。キースってものすごい天才なんだけど、やっぱりマイルスを反面教師に、マイルスと違うことをしようとしてる。常に。

中野 だからマイルスありきなんですよね。全員。


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Vol.1 ジャズの歴史をつくった天才たち
Vol.2 ジャズの歴史を彩る天才たち
Vol.3 モダン・ジャズを切り開いた黒人ミュージシャンたち
Vol.4 白人ジャズとアドリブの天才
Vol.5 ビギナーの必聴名盤その1
Vol.6 ビギナーの必聴名盤その2
Vol.7 ジャズ初心者から次のステージへ 1
Vol.8 ジャズ初心者から次のステージへ 2