トニー・マラビーの野蛮なサックスの音を聴きたくてこのアルバムを買った。それまでは、このステファン・ケレッキ・トリオというサックス・トリオは聴いたことがなかったから勿体ない。(テナー&ソプラノ)サックスのマシュー・ドナリエの音も表面的には正統派だが何だか内に秘めた野蛮さを感じさせる。そんなドナリエと共に丁々発止な演奏で独特なアンサンブルを聴かせるマラビー。新鮮。ケレッキとマラビーのフリーインプロなデュオも三曲。ビギナーにはハードかもしれないが、現代ジャズを知るには格好の一枚。今後、このトリオも追いかけなきゃ。てか、追いかける人が多過ぎ。向こうからやって来てくれないものか。意味わかんないか、それじゃ。
のっけからクリス・スピードの悪いカンジのサックスが唸り、ベン・ペロウスキーのドラムのけだるい音が絡みついて、そこに場違いな脳天気さでテッド・ライヒマンのアコーディオンが加わる。冒頭の一曲を試聴しただけで購入決定。全体的にアコーディオンの音色のせいか牧歌的な雰囲気を醸し出しているが、やがてアバンギャルドなうねりを見せる。NYの現代ジャズ的一枚。ただ、このデジパックがCDでありながらDVDサイズなので収納に支障が出る。ジャズに限らず時々パッケージに凝って妙なカタチのモノを作るミュージシャンがいるけど実は自己満足に過ぎない気がしているがどうだろう。
先にリリースされた新譜も大傑作だったクリス・ポッター参加の作品が早くも聴けるのは嬉しい(とは言っても録音は2007年)。モンタレー・ジャズ・フェスティバルのために、ベースの重鎮デイヴ・ホランドを中心に編成されたカルテットのライヴ盤なのだが、ここでのポッターも素晴らしいの一言に尽きる。重鎮の深い懐で自由自在にやらせてもらってる感じ。ポッター以外にも、ピアノはゴンザロ・ルバルカバ、ドラムはエリック・ハーランドと垂涎のメンバー。ルバルカバはここ四、五年追いかけてなかったけど、久しぶりに聴くと硬派なタッチが刺さりまくりで最近の作品を遡って聴いてみたくなった。てか、ハーランドも相当すごい。音数が多くシャープなドラミング。最近、スティックの持ち方にはレギュラーグリップとマッチドグリップがあるのだと知ったが、ハーランドやブライアン・ブレイドなどは後者。二人とも明らかに自分好みの音だが、グリップの違いによってそんなにも音の出方が変わるものなのか。年内に出る予定のハーランドのリーダー作が俄然楽しみになった。
凄いメンツがブルーノートNYに集結した。プロジェクトリーダーのジェームス・カーター&ジョン・メデスキーの化学反応は予想以上で、その二人にクリスチャン・マクブライド(b)、アダム・ロジャース(g)、そしてジョーイ・バロン(ds)が加わり、凄まじいファンクなジャズが展開!特にジェイムス・カーターの野蛮な咆哮は鳥肌モノ。作品によって手を抜いてるんじゃなかろうかと疑う位に平凡な吹き方をする時があるが、ここでのカーターはゴリゴリと吹きまくって圧巻。最後のラリーヤング作曲の表題曲『Heaven on Earth』ではテナーサックスをソプラノに持ち替えて狂気に満ちた演奏を聴かせ、バロンもバシバシと鋭くキメて、個人的には今作で最も興奮させれられた一曲。ライブとあってかメンツのテンションも高く熱気充満。今のNYを伝える大傑作のライブ盤!
今年で御年84歳を迎える長老ジャズドラマー、ロイ・ヘインズ。そのステージをブルーノート東京で観た。正直、歴史に名を刻む巨人なので生でその御姿を見とかなきゃぐらいの気持ちでさほど演奏には期待は寄せていなかったのだが、想像以上のパワフルなドラミングに驚愕してしまった。本当に80を超えているのか。数分にも渡る長いソロをその歳で聴かせるのが驚く。しかも演奏後、前列に座ってる女性客に話しかけ、自ら進んで抱擁してた。本当に80を超えているのか。ちなみに他のメンバーは、マーティン・ベヘラーノ(p)ジャリール・ショウ(sax)デヴィッド・ウォン(b)と、新進気鋭の若手で固められている。女性客と抱擁はしなかったこの3人は不勉強ながらいずれも初聴きだったが、ピアノのマーティン・ベヘラーノとサックスのジャリール・ショウの柔軟なプレイに魅せられてしまった。今後、要チェックだ。で、このアルバムはリーダーのロイ・ヘインズが30代半ばのノリにノッてる時の代表作。ローランド・カーク、トミーフラナガンらとスリリングで熱い演奏を展開している。必聴。