最近はめっきりこの辺りの音がツボだ。マーカス・ストリックランドの真っ直ぐなサックスの音が無性に生で聴いてみたくなるライヴ盤。ここでなされる試みとして、ラップまでいかない「語り(Spoken Word)」が何曲かでインサートされる(Tokyo No.1 SOULSETのビッケっぽいかも)。このところ、ウィントン・マルサリスやテレンス・ブランチャードなどの新譜で、ボーカルとは異なる「人の声」を使った表現がなされてるが、NYで流行ってるのか(そういえばグレッチェン・パーラトの新譜でも自分の子供の頃の「声」を使っていた)。この辺りの趣向は好みが別れるところだが、個人的にはジャズの幅を広げる表現手法のひとつとして受け容れたい(音楽とは完全分離させたマルサリス『He and She』の朗読は別だが)。今作で気になったのはギターのマイク・モレノ。特にM5「Sneaky Deaky」では、モレノのスペイシーなギター音に、E.J.ストリックランドのバシバシ決まるドラムの音が切り込んできて気持ちいい。初リーダー作をリリースして話題のトランペッター、キーヨン・ハロルドも参加。NY行きたい。
これまた待ちに待ったシーマス・ブレイクの新譜。正蔵師匠と対談をした際、師匠はシーマスが参加してる作品は全部聴くようにしてると語っていたが、個人的にも二枚組のライヴ盤『Live in Italy』ですっかりシーマスの虜(かなり遅いけど)。今作でもシャープで聡明なプレイを堪能出来る。サイドメンでは勿論、安定感あるデヴィッド・キコスキもいいが、なんと言っても2005年セロニアス・モンク・ギター・コンペティションの覇者、ラージュ・ルンドがいい。透明感のある音色がシーマスのサックスとベストマッチ。すぐにリーダー作(今んとこ全2作)をアマゾンでワンクリックしてしまった。
ギターとピアノのデュオと言えば、Bill Evans&Jim Hall『undercurrent』が有名だが、それに匹敵する出来栄えのこの作品。透明感あるタッチのフレッド・ハーシュと浮遊感漂うビル・フリゼールの美しい音色が絡み合う『Songs We Know』。タイトルが示すように、取り上げてる曲は超有名スタンダードばかり。ざっと挙げても「There Is No Greater Love 」「Someday My Prince Will Come 」「Softly As in a Morning Sunrise 」「Blue Monk」「My One and Only Love」「My Little Suede Shoes」「Yesterdays 」「I Got Rhythm」...と名曲揃いだが、テーマに負けないくらい両者が奏でる即興は美しい。ジャケットの感じからも『undercurrent』を意識してるに違いないが、これも紛う事なき名盤。1998年リリース。
6月7日に五反田ゆうぼうとで開催された『100 GOLD FINGERS』を観た。ベテランから若手までジャズピアニスト10人が一堂に会すという豪華な公演も今年で11回目。人数が多いので1人につきたったの2曲という物足りなさはあるものの、約3時間で蒼々たるメンツの演奏を生で体験できるのだから贅沢だ。何といっても10人が入れ替わり立ち替わりリレー演奏したアンコール「A列車で行こう」が圧巻。ピアノを弾く者以外は後ろに横一列に並び手拍子をしながら演奏を見守る。なんという豪華な演出。てか、こっちが申し訳ない気持ちになった。で、ベニー・グリーン。彼の演奏を生で観たのはこの時初めてだったのだが、それを機に久々にこの作品を引っ張り出して聴いた。ギターのラッセル・マローンとのデュオ。派手さはないが地味にイイ作品。シンプルなジャケットはこの作品のイメージにぴったり。2004年リリース。愛聴盤。
ブルーノート東京にて再び、ジョシュアのライブを観た。いきなり「マック・ザ・ナイフ(モリタートと言うべきか)」からスタートした今回。ロリンズを敬愛する自分としてはのっけからテンションが上がる。アンコールでは、FRONTPAGE ORCHESTRAのリーダー&テナー、三木俊雄氏が加わってのカルテット演奏。前回にはなかった飛び込み。アンコールに相応しい砕けた雰囲気だった。で、このエラスティック・バンド。最近のサックストリオとはまた別のベクトルの、ジョシュアがブライアン・ブレイドらと共に組んでるネオ・ファンク・バンド。前作と異なり、多彩なゲストを迎えての意欲盤。特にギター勢には、ピーター・バーンスタイン、エリック・クラズノー(ソウライブ)、カートローゼン・ウィンケル。(あとは初聴だったが、ジェフパーカーも)。それに、ステフィン・ハリス(vib)やニコラス・ペイトン(tp)らも加わり、豪華。エラスティック・バンドをネットで検索すると、その殆どがゴム帯の類がヒットするが、まさしく柔軟にジャズとその他のジャンルを束ねる伸縮自在なゴムのようなバンド。