オランダのピアノ・トリオによるセロニアス・モンク集。メンツは、ハン・ベニンク(ds)ミケル・ボルストラップ(p)エルンスト・グレラム(b)。てっきり、グレラムがピアノを弾いているのかと思ったら違った。グレラムといえば、"バスジャケ"で一躍注目を集めたピアニストだが(この作品はone&two共にかなりの愛聴盤なので今度ここで紹介しよう)ここではベース。にしても、モンク集ってのは聴く方にとって身構えるテーマだ。だって、歴史に残る大正解の演奏が存在してるし、ただのエピゴーネンに過ぎなければ残念なだけだし。これまであまりモンク集で強烈に記憶に刻まれる名盤には出会ってなかったが(自分の勉強不足なだけとも言えるが)ようやく出会った。モンクの個性がトリオの個性に変換された名盤。タイトルに「Volume One」とある。早くも次作が待ち遠しい。
ブルーノート東京にて再び、ジョシュアのライブを観た。いきなり「マック・ザ・ナイフ(モリタートと言うべきか)」からスタートした今回。ロリンズを敬愛する自分としてはのっけからテンションが上がる。アンコールでは、FRONTPAGE ORCHESTRAのリーダー&テナー、三木俊雄氏が加わってのカルテット演奏。前回にはなかった飛び込み。アンコールに相応しい砕けた雰囲気だった。で、このエラスティック・バンド。最近のサックストリオとはまた別のベクトルの、ジョシュアがブライアン・ブレイドらと共に組んでるネオ・ファンク・バンド。前作と異なり、多彩なゲストを迎えての意欲盤。特にギター勢には、ピーター・バーンスタイン、エリック・クラズノー(ソウライブ)、カートローゼン・ウィンケル。(あとは初聴だったが、ジェフパーカーも)。それに、ステフィン・ハリス(vib)やニコラス・ペイトン(tp)らも加わり、豪華。エラスティック・バンドをネットで検索すると、その殆どがゴム帯の類がヒットするが、まさしく柔軟にジャズとその他のジャンルを束ねる伸縮自在なゴムのようなバンド。
ブルーノート東京で、ジョシュア・レッドマンのライブを観た。ルーベン・ロジャース(b)&グレゴリー・ハッチンソン(ds)とのサックス・トリオ。正直、ラリー&ブライアンとのトリオが観たかったのだが、思いの外、ハッチンソンのドラムが凄くて、興奮。勿論、ジョシュアの静かに熱い演奏も鳥肌モノ。ションベンを我慢する小学生みたいに、時折、足踏みしながら吹くジョシュアの姿が印象的だった。前作『BACK EAST』から始まったピアノレストリオだが、今作はこの二人の他に、ラリー・グレナディア(b)&ブライアン・ブレイド(ds)も参加して、ダブル・ベース&ダブル・ドラムで複雑なリズム・セクションを繰り広げるという意欲作。その昔、オーネット・コールマンが『FREE JAZZ』の中で、ダブル・カルテット(!)というハチャメチャな試みを行ったことがあった。左右のスピーカーから同時に別々の演奏を聴かせる、まさにフリージャズの極み。ジョシュアのこの作品はそこまでアヴィンギャルドではないが、試みは十分実験性に飛んでいて興味深い。
クリスチャン・マクブライドのライブ盤を紹介した際に言及した伝説のライブハウス、トニック繋がりでこんなアルバムを。メデスキ・マーティン&ウッドの1999年に同ライブハウスで行われたライブ盤。ジョン・メデスキはこの時、一切、キーボードを使わずアコースティックピアノを演奏しているのだが、現在のM・M&Wに通じるアヴァンギャルドな世界観は既に顕在。かと思えば、ファンキー&ハードバップ的なところもあって幅の広さを見せつける。加えて、ビリー・マーティンの力強いドラム、そしてクリス・ウッドの強靱なベース、このアコースティックなM・M&Wも個人的にはかなりツボ。
愛聴盤のクリスチャン・マクブライドのライブを久々に聴く。NYのライブハウス・トニックで行われたジャムセッション。とにかく、ライブハウスの熱気も含めて演奏が熱い。しかも3枚組。熱すぎる。1枚目がクリスチャン・マクブライド(b)のレギュラーバンドの演奏。メンバーのロン・ブレイク(sax)ジェフリー・キーザー(p)テレオン・ガリー(ds)はまだ日本では注目されていないが、今後も要チェックな人材。2枚目と3枚目は、チャーリー・ハンター(g)やジェイソン・モラン(p)、ソウライヴのエリック・クラズノー(g)などゲストミュージシャンとのジャム・セッション。通して聴くと、3枚組になった理由が判る。演奏が熱すぎて削れないのだ。番組でいえば、1時間番組なのに盛り上がり過ぎて、3週に渡って放送しちゃいました的な感じか。コンテンポラリー、ファンク、ヒップホップ、ジャム系などなど多種多様なジャズがてんこ盛り。このライブ自体がジャズそのものだ。ちなみに、閉店の危機を有志たちのドネイションで乗り越えてきたトニックだった(ネットでも呼びかけていた)が、今は不況の波に飲まれて惜しくも閉店。場がプレイヤーに与える影響は大きいと思っているので、この熱気に溢れたライブ盤を聴いて一度このライブハウスに行ってみたいと思ったが、時すでに遅し。この作品は、そういった意味でも貴重盤なのだ。