今日とジャズ

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031〜040


040.OSCAR PETERSON 『ROMANCE』

040.jpgピーターソンの場合、他にも数多く名盤は存在していて、いずれ取り上げることになるとは思うが、最初の一枚をあえてこの作品にしたのは、今は亡き彼の"肉声"が聴けるからだ。天才ピアニストが弾き語る稀少なボーカルアルバム。人柄が滲み出た優しげな歌声は、ナット・キング・コールを彷彿とさせる。いや、瓜二つ。実際、ピーターソンだと言わずに聴かせれば、殆どの人が「ナット・キング・コール」だと思うのではないか。生前、敬愛していたというナットの歌唱法にもろ影響を受けてるのだ。これがボーカリストを生業としているならば首を傾げるが、天才ピアニストの歌声だと思うとむしろ微笑ましい。聴いているとついマイクから離れてしまい、歌声が遠くなることが何箇所かあり(特に1曲目「I'M GLAD THERE IS YOU」と7曲目「SPRING IS HERE」)、その辺りに、不慣れなボーカルものを録っている様子が伺えて微笑ましいし、すぐにマイクに近づいて声が大きくなる感じもさらに微笑ましい。全編を通して素晴らしいボーカルアルバムに仕上がっているが、中でも個人的なフェバリットソング「THESE FOOLISH THING」には、ぎゅっと胸を締め付けられる。[1952〜54年録音・Verve]

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039.ELLA FITZGERALD with COUNT BASIE 『Ella and Basie !』

039.jpg単純に音の力関係で言っても、ボーカリストにとってビッグバンドをバックに歌うということはかなり大変だ。20人以上の敵陣に一人で太刀打ちする訳だから、並大抵のことじゃない。ま、敵とは思ってないだろうけど。でも、ジャズ特有のスイング感は演奏者どうしが互角に張り合ってないと生まれないわけで、そういった意味でこのアルバムは、ビッグバンドとボーカルが絶妙なバランスを保っている屈指の名盤。時にダイナミックに、時に小粋に、スインギーな歌を聴かせるエラ。そんな彼女を懐深く気持ち良く泳がせるベイシー。相性がいいというのはこういうことを言うのだろう。アレンジを担当するクインシージョーンズも内なるエンターティナーぶりを発揮して、まさに内助の功。[1963年録音・Verve]

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038.Harold Harris『Here's Harold』

038.jpgこのアルバムを聴く度に欲求不満になる。何故なら、このピアニストはたったの二枚しか作品を残していないからだ。唯一無比な、ハロルドの音色をもっともっと他の楽曲でも聴いてみたいが、ここに収められた14曲(ジャズにしては2、3分の短い曲ばかり)と、もう一枚『AT THE PLAYBOY CLUB』に収められた7曲の、合計21曲でしか聴けない。江夏の21球、ハロルドの21曲。江夏と一緒にする意味はないんだけど。それにしても、ハロルド・ハリスのピアノは何故こんな風に響くのか。きれいに喩えるならば、水滴が弾け散るような音。陳腐に喩えれば、玩具のピアノ(でもちょっと値段は高い)のような音。初めて聴いた時からこの音色の虜になってしまった。[1961年録音・VEE JAY]

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037.美空ひばり 『ジャズ&スタンダード』

037.jpgジャズボーカルにすり寄ることなく、ジャズをすっぽりと自分の歌に取り込んでしまった美空ひばり。中でもスタンダードナンバー「A列車で行こう」が出色の歌唱。とにかくスキャットがスゴイ。「日本人のスキャットを聴くとゾッとする」と辛口なことを言う知人がいて、ならば美空ひばりの"A列車"もそうかと聞いたら一度も聴いたことがないという。失格。回転寿司のウニしか食べたことないのに「ウニは生臭くて嫌い」と判った風なことを言うのと同じだ。ちゃんとした寿司屋のウニはこの上なく旨い。話が逸れた。美空ひばりという歌手は、やはり生来"スイング"している稀代の天才なのだ。日本人にスキャットが無理なのではなく、つまりは歌い手の資質の差。世の中にはこんなに旨い本物のウニが存在するのだ。ナットキングコールを歌った『ひばりジャズを歌う』も、旨い。[1990年発売・日本コロンビア]

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036.Sarah Montes 『Long As The Day Is』

036.jpg"美脚ジャケットにハズレなし"という個人的なジンクスに違わぬ一枚。サラ・モンテス。ややベビーボイスで、ややハスキー。その声質と真っ直ぐな歌い方にやられてしまった。声量溢れる歌唱力で巧みに歌い上げれば心震わされると思ったら大間違いだ。て、誰に言ってるのか。それにしても、だ。ジャケット写真からは"艶っぽい大人の女性が歌うジャジーなボーカル"といった印象を受けるが、内容はまったくもって異なる。全編、アップテンポにスイングするガーリッシュなボーカル。この写真、レコード会社の策略だ。まんまと引っ掛かってるけど。ピアノのJOEY SINGERが、無名ながらスインギングな演奏で好サポート。これだけでも一聴の価値有り。[2006年録音・lazsarmusic]

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