新譜はベニー・グッドマンのトリビュートだと知った時はそうきたかと思った。前作『Bravouge』で多彩なベクトルを見せ、そこからどの方向にこのピアノ・トリオを発展させるのかと期待していたら、あっさりと裏切られてしまった。今年はベニー・グッドマン生誕100周年だが、まさかそこを突いてくるとは。でもこの"裏切り"が彼女の魅力に違いなく、展開が読めない飄々としたステージMC同様、『Runnin' Wild』でも"意外性"が楽しい。冒険(新進)と堅実(伝統)が入り交じったアレンジも彼女ならでは。掴み所のない才女、山中千尋の新たなる一面が伺える一枚。こうなったら彼女のビッグバンドアレンジも聴きたくなった。