「俺は老カウボーイ」の飄々とした演奏から始まるこの作品。歴史的大名盤『サキソフォンコロッサス』と肩を並べるロリンズの代表作。同時にピアノトリオというスタンダードなバッキングをやめ、ベース(レイ・プラウン)&ドラム(シェリー・マン)だけで録音を試みた記念すべき一枚でもある。ロリンズはこれ以来、ピアノレスという、コード楽器にアドリブを制限されない座組で次々と名演を世に送り出すことになる。今年(08)の来日公演『JAPAN TOUR '08 "I'm Back"』もやはりピアノは置かず、ドラム&ベースの他にはギターとパーカッションを配置し、溌剌とした演奏を繰り広げていた。東京国際フォーラムで開催されたそのコンサート、幸いにも前列2列目の中央席、ステージからわずか数メートルという至近距離で観ることが出来たのだが、あんな風に力を抜いて自然にテナーを吹くサキソフォン奏者を未だかつて見たことがない。まるで、テナーを使ってただ呼吸しているだけのような吹き方。まさに達人、いや、仙人の域だ。彼にとってテナーを吹奏するということは、まさしく呼吸することに等しく、観客はロリンズの息遣いに引き込まれ、心を震わされているのである。つまり、ロリンズの"生命の営み"に感動しているのだ。このアルバムは今から51年前、26歳だったロリンズの自然な息遣いが吹き込まれている傑作。[1957年録音・ CONTEMPORARY]