キース・ジャレットの弟というだけでやりづらいだろうなぁ、と要らぬ心配をしてしまうが、兄弟だけあって顔もそっくり。だが、取り組んでいるのは、似ても似つかないノイズ系フリージャズなど実験性に富んだアグレッシブなジャズ。が、捉え方を変えれば、方法論は違えど兄のキース同様、イマジネーションの極みに挑んでいると言えなくもない。ブレッカー、マルサリス、ストリックランドなどジャズ界には兄弟が多いが、同じ楽器を演ってるのはあまりいない。幸か、不幸か。今のところ、ちょっと不幸か。こうなったら兄弟で連弾作品を出して貰いたい。チックコリアと上原ひろみみたいなデュオとか。顔も似てるから話題性十分なのに。ピアノ界のタッチ。ピアノタッチ。タッチがマイナーか。
超絶テク・ギタリスト、チャーリーハンターの新譜は、2トロンボーン&トランペット&ドラムの変則クインテット。特注の8弦ギターを操るハンターだが、今作では7弦。この1弦の違いがどう演奏に影響するのか判らないのが悔しい。決してその影響ではないと思うが、このハンターのバンド、これまで以上にファンク色が強く(かつ明るくゆるく)なっていて自分好みに。戯れるように絡み合うギターとホーンセクションが愉しい。M3「High and Dry」のドラムとのゆるい絡み合いもまた堪らない。内容とは関係ないが、タイトルが長過ぎ。
近年、美脚ジャケットに包まれた日和り過ぎるきらいのある作品が続き、Crisscross時代からのファンを多少なりともがっかりさせてたライアン・カイザーだったが、個人的にも最近はライアンという名前を見るだけで(ハリー・アレンやエリック・アレクサンダーと同様)どうせ〜と諦めが真っ先に立ち、スルーすることが多かった。そんな中、リリースされたライアン初のライブ盤。オーバープロデュースの魔の手が及ばないNYのSMALLSでの演奏。以前、リンカーンジャズセンターで見た面々によるクインテットが聴けるということもあって久々に聴いてみたら、これがどっぷりと愉しめた。美脚シリーズの演奏も勿論イイのだけれど、どこか行儀がよくて物足りなかったのだが、その不満をこのライブ盤は解消してくれた。伝統を上塗りする「普通のジャズ」だけではなく、ライアンにはもっと多面的に活動して貰いたい。
これまでビッグバンド編成で緻密なアンサンブルをバランスよく構成してきたリーダーならではの端正なピアノトリオ作品。硬質なタッチでくっきりと輪郭を描くような音の紡ぎ方は個人的にはとても好みで今後も積極的にトリオで活動して貰いたい。「Over The Rainbow」の広がる虹に陽光が差し込むかのごとき演奏の美しさと言ったら!
ハンガリーのピアニストDaniel Szaboは初聴き。彼がリーダーを務めるトリオにゲストを招くパターン。前回がカート・ローゼンウィンケル、そして今回がクリス・ポッター。穿った見方をすれば、商業的にフィーチャリングアーティストの知名度を利用してる風にも見えなくはないが、そんなことはどうだっていい。ポッターファンとしては、どういうカタチであれ、彼の新録が聴けるのは嬉しい限り。そんなこんなで人ん家にお呼ばれしたカタチのポッターだが、臆することなく自在にブローイング。インタープレイ的に見てこのトリオとは相性がいいのだ、きっと。内容とは関係ないが、ジャケットが凝った作りで面倒臭い。個人的にはデジパックが一番だと思うのだが。