011〜020


020.POLLY GIBBONS 『Moanin'』

020_2.jpgこの貫禄は何なんだ。弱冠23歳の新人とは思えない堂々とした歌いっぷり。しかも選曲も強気。新人ならば物怖じしそうな天才ジャズシンガー、ビリーホリディの楽曲をややハスキーがかったソウルフルなボイスで、一点の迷いもなく自分のものにしているのがスゴイ。なかでも、表題曲にもなっているアートブレイキーの歴史的名曲「Moanin'」の歌い上げ方は凄まじく、かと思えば、最後の「Tell me who's wrong」では一転、ブルージーなこの曲をさらりと軽快に歌いこなす。イギリスのBBCジャズアワードの新人賞に選ばれたようだが、それも納得。鳴り物入りでデビューする新人は多いが、彼女はそんな中でも久々に"ホンモノ"を感じさせるシンガーだ。要注目。

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019.ZOOT SIMS QUARTET 『ZOOT』

019.jpgテナーの名手、ズートシムズの、個人的には最高傑作。肩の力が抜けた、一切押しつけがましさのない名演の数々。何と言っても歌心溢れるソロがスイングしまくっていて心地いい。凡才にはなかなか真似のできぬ芸当だ。初めてこのアルバムを手にしたのは高校生の時。まだジャズを聴き始めて間もない自分の、テナーの好みを決定付けたと言っても過言ではない思い出の一枚。あれから25年、ずっとマイフェバリットアルバムの上位に居続けている、完璧盤。

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018.大西順子 『WOW』

001_2.jpgジャズ雑誌を読んでいて、ふとこのアルバムのことを思い出した。日本の女性ピアニストといえば、今は山中千尋に夢中だが、20代の頃(!)はこの大西順子に夢中だったのだ(どちらも容姿ではなく勿論その演奏に)。山中湖畔で開催されたマウントフジジャズフェスティバルで初めて彼女の生演奏に触れた瞬間、ガシッと心を鷲掴みにされ、すぐに会場で販売されている彼女のCDをまとめ買い。その一年はずっと聴き続けていたのを思い出す。久しぶりにサムシングエルス(当時このレーベルは優秀な作品を多く世に送り出してた)からリリースされた『WOW』を引っ張り出してみたら、埃など経年の汚れで随分とケースが黒ずんでいて少なくとも十年はこの名盤を聴いていないことに気付く。が、ひと度プレイボタンを押したが最後、懐かしさと相まって一気に最後まで聴き入ってしまった。素晴らしい演奏。まさしく、大名盤。

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017.Björk Gudmundsdóttir & Trió Gudmundar Ingólfssonar 『Gling-Gló』

01110.jpg異ジャンルの歌手(あるいは日本人歌手)がジャズを歌うとジャズボーカルというジャンルに媚びへつらうように擦り寄り、結果、"ジャズのようなもの"で終わってしまう場合が多々あって、そういったボーカルを聴く度に背筋の寒い思いをすることになるのだが、この歌手にはそんな寒さが微塵も感じられない。これは、あのビョークがまだ無名時代、ピアノトリオをバックに歌い上げた正真正銘のジャズボーカルアルバム。既にこの時点で彼女固有の強烈な歌唱法は確立されていて、ジャズに擦り寄るのではなく、ジャズを自分にグッと引き寄せて歌ってるのがスゴイ。聴き終えて、天才とは万事その本質を捉える才能のことなんだと再確認。

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016.SLIDING HAMMERS 『A BEAUTIFUL FRIENDSHIP』

018.jpg女性のトロンボーン奏者は珍しい。しかも姉妹ときたらおそらく彼女たち以外にはいないはず。姉妹の声が似るというのはよくあることで、例えば、電話に出た相手が長女なのか次女なのか判別つかないという経験は誰もが一度はあると思うが、そのことはトロンボーンの音色にも当てはまる。何度も聴いてはいるが、どっちがどっちだかいまだに判らない。つまり、裏を返せばこれがスライディングハマーズの最大の魅力なのである。多重録音でもしない限り、このような2トロンボーンモノは作れない。いや、厳密には多重録音でも不可能だ。その奏者の本質が滲み出るのが即興だとしたら、多重録音の場合、本質が同じソロが二度続くことになる。すなわち、二重人格者でもない限り、こういった作品は生み出せないことになる。演奏は女性らしい優しげなトロンボーンの音色が絡み合い、心地いい。4曲目「The Good Life」と8曲目「Being Alive」ではボーカルも披露。これまた好感が持てる声質と素直な歌い方。でも、どっちがどっちだか判らない。

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