162.大西順子『Baroque』

baroque_500.jpg11年にも及ぶ沈黙から昨年『Musical Moments/楽興の時』で復帰した大西順子だったが、これが完全復帰と呼ぶに相応しい作品だ。レコード会社もEMIからユニバーサルに移籍、ジャケ写はなんと予想だにしなかった蜷川実花を起用!この気概はただ事じゃない。完全復帰宣言である。オフィシャルサイトも出来、ブログまで用意されているなんて、完全復帰の証拠。サイドメンにも、ジェーム・スカーター、ニコラス・ペイトンなど蒼々たる面子が並び、さらにはレジナルド・ヴィールとロドニー・ウィテカーのダブルベースの曲も!完全復帰しないとなかなかこの面子とやり合おうと思わないのではないか。混沌とした茂みを掻き分けて密林を突き進むと実は意外にも区画整理されてることに気付いて驚いたといった感じの作品。こんな興奮した作品は久々。もうスゴすぎて完全復帰の何者でもないことを確信。続けざまに3回聴き返してしまった。完全復帰、バンザイ。

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161.BIG ACOUSTIC BAND『Invisible Way』

20100619bab.jpg締め切り仕事がない日曜日の午後はビッグバンドが聴きたくなる。大音量で聴いてこそのビッグバンド。絞った音ではせっかくの大編成がリアルに感じられない。日曜日の昼過ぎなら少しぐらい大きな音を響かせたとしても近隣の人たちは大らかな気持ちで許してくれるだろう、という勝手な思い込みでその時間帯に大音量でビッグバンドものを聴くようになり、それがいつの間にか「日曜日の午後にはビッグバンド」という条件反射が出来てしまった。そんな訳でこの日曜日に聴いた新譜がコレ。FSNTからリリースされたスペインのバンド。キレ味のいいホーンセクションと統制のとれたアレンジ。日曜日の午後、大音量で聴くにはぴったりな王道なモダンビッグバンド。

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160.ELI DEGIBRI『Israeli Song』

41l331Z8Y9L._SL500_AA300_.jpg正直言うと、目当てはブラッド・メルドーだった。メルドーが参加するアルバムということで手に取ったら、ドラムがアル・フォスター、ベースがロン・カーターという座組で、その取り組みのミスマッチ感にも興味をそそられた。肝心のリーダーは、初めて聴くサックスプレイヤー、エリ・デジブリ。サイドメンの七光りでスポットが当たった、あるいは戦略的にそうなるよう仕掛けたカタチだが、ここで実力が伴わなければ逆効果、一気に記憶の闇に葬られることになる。果たしてこのワンホーン作品は成功だった。昭和初期生まれのジャズ好きな方々が「彼には歌心がある!」と絶賛するようなプレイは、昭和40年生まれの自分にも突き刺さった。まだ30歳そこそこのデジブリの、オーソドックスでストレートな音は逆に新鮮。聴き終えてあらためてジャケ写を眺めるとその成功を確信してるかのようなデザインだった。蒼々たる面子の名前はクレジットだけで、文字通り明かりを抑えた部屋で照らされているのはこのサックスプレイヤーただ一人。スキンヘッドのテカリにも自信が伺える。この作品がキッカケで、近い将来、彼の音がハイパーマグナムサウンドにならないことを祈りたい。

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159.HERBIE HANCOCK THE IMAGINE PROJECT

51i-9JGeA8L._SL500_AA300_.jpgジャズの巨匠、ハービーハンコックの新譜はなんとボーカルモノ!イマジンプロジェクトと題されたこの作品、コンセプトが"地球規模の平和"と謳われていて、そう言われるとどこか宗教じみた胡散臭さが漂ってしまうが、内容は一切そんな匂いは皆無。音楽のジャンルを超えたグローバルなボーカルアルバムに仕上がっている。冒頭、このアルバムのコンセプトにもなっているだろうジョンレノンの「イマジン」から始まるのだが、この一曲だけで名盤を予感させ、一枚を聴き終える時にはそれは現実となった。今年これを超えるボーカル作品は何枚出るだろうか。個人的にはジョンレジェンド他何人かを除いて初めて聴くボーカリストが多かったが、全員今後も追いかけたくなった。

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158.JASON MORAN『TEN』

41oM-oKZWzL._SL500_AA300_.jpgいやぁ、引っ越しやら番組の改編期やらで忙殺されていて長らく更新が滞っていた。これからこまめに更新していこうと思う。さて、滞っていたといえば、ジェイソンモランの新譜も随分と滞っていた。実に4年ぶりのリーダー作。最近出たポール・モチアンの新譜でも緊張感あるプレイを聴くことが出来るが、やはりモランはリーダー作が聴いてみたいピアニストの一人。ディスクユニオン新宿店で目にした途端、試聴もせずに迷うことなく購入してしまった。たとえ駄作だとしてもこのピアニストの歴史に立ち会っておこうという覚悟が自分にはある。はたしてモランの新作は実に傑作だった。タイトルの『TEN』は自身のトリオ「ザ・バンドワゴン」(ベース・タラス・マティーン、ドラム・ナシート・ウェイツ)結成10周年を意味するようだが、長年培った阿吽のインタープレイとスリリングな演奏に、相変わらずの複雑なリズムと構成にも関わらず、ぐいぐい引き込まれ、すっかり聴き入ってしまった。まさしくジャズの現在を体現するアーティスト。必聴だ。

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